投稿

【勝手気ままに映画日記】2020年2月

イメージ
2月8日元宵節、台湾で天燈揚げ。これは真下から―つまり揚げた人にしか撮れない映像と、ちょっと自慢! @基隆『ミレニアムマンボ』(01侯孝賢)の冒頭に出てくる歩道橋で ①リンドクレーン②冬時間のパリ ③ドリーミング村上春樹 ④火口のふたり ⑤光  ➅你的情歌 ➆肥龍過江 ➇ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 ➈ラスト・レター ⑩影裏 ⑪河豚 ⑫誰もが愛しいチャンピオン ⑬私の知らないわたしの素顔 ⑭夕陽のあと ⑮淪落の人 ⑯ゴールデン・ジョブ 黄金兄弟 ⑰わたしは光をにぎっている ⑱スキャンダル ⑲キング ⑳グレタ ㉑AI崩壊 ㉒ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像 ㉓娘は戦場で生まれた FOR SAMA ★は3個ー2個―1個の順で印象に残った佳作です。もちろん個人的感想ではありますが… 2月は23本中6本が中国語圏映画。日本映画も6本。なお、末尾( )内の各映画館の後ろにつけた数字は、1月からの通し鑑賞番号です。 ①リンドクレーン 監督:ペアレ二・フィッシャー・クリステンセン 出演:アルバ・アヴグスト マリア・ボネヴィー マグヌス・クレッペル 2018デンマーク・スェーデン 123分 『長靴下のピッピ』のリンドグレーンの、まだ物書きになる前の、未婚の母としてデンマークで子を産み里子に出してから、5歳くらいで引き取るまでという、こういう伝記物としては非常に変わった切り取り方―もちろん、宗教的な規律の厳しい保守的な家庭の枠にはまらない奔放な性格、理解のある父、文才を買われて地元の新聞社の記者助手になる、上司(社長)との半不倫的恋愛、妊娠とそれぞれの場面から後の奔放に一人で生きるような少女ピッピを造形するのだろうなあという気配はでてはいるものの、まあ,梗概だけみたらよくある女の子の蹉跌、苦悩、立ち直りみたいな話しだし、デンマークの里親のもとで育つ息子との関係などもなんか悲母ものというより、成り行きっぽいとこともあって、また、苦労しているとはいえ、のちにはある程度の理解を示す親、すばらしい人間性で描かれる里親の女性、そして子持で働く彼女に理解や援助を与える後の上司(名前は「リンドグレーン」子どもの父ではもちろんない、というちょっと意味深な描き方)と、意外にいい人に囲まれ助けも得ながらだんだん幸せになっていく感じで、

【勝手気ままに映画日記】2020年1月

イメージ
お正月、くっきりはっきり高尾山からの富士山に満足 こちらは沼津アルプスから…低山?に登って富士山を探すのが最近の趣味です ①エセルとアーネスト②スペインは呼んでいる(THE TRIP TO SPAIN)③サイゴン・クチュール④パラサイト半地下の家族⑤エクストリーム・ジョブ ➅さよならテレビ➆読まれなかった小説➇リチャード・ジュエル➈ジョジョ・ラビット⑩ガーンジー島の読書会⑪ホテル・ムンバイ⑫ガリー・ボーイ⑬オルジャスの白い馬⑭音楽⑮マリッジ・ストーリー⑯イーディ、初めての山登り⑰家族を想うとき⑱私のちいさなお葬式⑲キャッツ⑳最初の晩餐㉑国家が破産する日㉒テリー・ギリアムのドン・キホーテ㉓パリの恋人たち(L'homme fidele)㉔エッシャー 視覚の魔術師 ①エセルとアーネスト 監督:ロジャー・メイウッド 原作:レイモンド・ブリックス 出演(声):ブレンダ・ブレッシン ジム・ブロードベント ルーク・トレッダウェイ 2016英・ルクセンブルク 94分 『スノウマン』のレイモンド・ブリックスが第1次大戦後のロンドン、若い牛乳配達人アーネストとメイドのエセルが知り合い家庭をもって、第2次大戦、ナチスの侵攻脅威の中一人息子のレイモンドを育て、彼がパブリックスクールをやめて美術学校に進学、結婚し、エセルが認知症になり亡くなる1971年、後を追うように一人暮らしのアーネストも亡くなるまでを淡々と、でも一つ一つの場面の美しさに幸福感があふれるような描き方をしたアニメーション。最初に実際のレイモンド・ブリックスが二人の肖像を描き出す場面から始まり、エンドロールは一家の写真でつづるというサービスまで含め、実在の無名の人物が日々の幸福と平穏を求めて、戦争や社会階層に対する感じ方(アーネストは戦争の動向を気にかけ、エセルは特に自分たちは「労働者階層ではない」ということに固執する)をも含めて、このような人物がどこにでもいて社会を作り、子どもを育て生き抜いてきたことが心に沁みるという映画だった。  (1月5日 川崎市アートセンター・アルテリオ映像館) ②スペインは呼んでいる(THE TRIP TO SPAIN) 監督:マイケル・ウインターボトム 出演:スティーブ・クーガン ロブ・ブライドン レベッカ・ジョンソン クレア・キーランス

【勝手気ままに映画日記】2019年12月

イメージ
あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。2020元旦 上は足和田山から、下は足柄山から、富士山を見に行けるようになりました! 2019年は、2月のスキーでの大怪我入院で、みなさまに大変ご心配をおかけし、猛反省の年でした。すっかり半分は棒にふってしまった?というような気もしますが、なんとか復活、夏には低山歩きも再開、山の頂上まで登って富士山を見るなどということもできるようになりました。寄る年波?はいかんともしがたいですが、もうしばらくは頑張って滑ったり登ったりしたいなあと、懲りずに思っているところです。 さて、今年も月1回ののんびりペースですが、映画日記を続けていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願いします。12月に見たのは以下の26本でした。印象深かった映画には🌸マークつけてみました。 ①~③第20回東京フィルメックス作品として前回アップ ④ヒンディ・ミディアムー英語が話せないなんてー⑤台湾、街かどの人形劇(紅盒子・Father)➅幸福路のチー(幸福路上)➆英雄は嘘がお好き➇アルツハイマーと僕 グレン・キャンベル音楽の奇跡➈決算忠臣蔵⑩恋々豆花⑪東京裁判 4Kデジタルリマスター版⑫シークレット・スーパースター⑬樹木希林を生きる⑭トスカーナの幸せレシピ⑮エイスグレイドー世界でいちばんクールな私へー⑯ラスト・クリスマス⑰ある女優の不在⑱こおろぎ⑲テルアビブ・オン・ファイア⑳ゴッホとヘレーネの森ークレラー=ミュラー美術館の至宝㉑人生、ただいま修行中㉒スターウオーズ スカイウォーカーの夜明け㉓細い目㉔去年マリエンバードで㉕アナと雪の女王2(FROZEN2)字幕版 ㉖男はつらいよ50お帰り寅さん ④ヒンディ・ミディアムー英語が話せないなんてー 監督:サケ―ト・チョドリー 出演:イルファーン・カーン サバ―・カマル 2017インド 132分 132分といえば、長いことは長いが最近の日本映画などには珍しくないように思うが、このインド映画、なんと中間にインターミッションの文字が出た!(もちろん実際のインターミッションはなく、そのまま上映は続いたが) インド・デリーの洋装店というか仕立て屋の若者が顧客のおしゃれな金持ちの娘と恋に落ち(こんな場面いるのかなあとも思うが)、15年後に飛んで、男、ラージはブランドの

第20回 東京フィルメックス 2019 /11〜12月

イメージ
⑯シャドウプレイ(風中有朶雨做的雲) ⑰春江水暖(Dwelling in the Fuchun Mountains) ⑱二人の人魚(蘇州河) ⑲評決 ⑳大輪廻 ㉑ニーナ・ウー(灼人秘密) ㉒気球 ㉓熱帯雨 ㉔昨夜、あなたが微笑んでいた ㉕ヴィタリナ(仮題) ㉖完全な候補者 ㉗カミング・ホーム・アゲイン ① 牛 ② HHH:侯孝賢 ③ フラワーズ・オブ・シャンハイ 新旧とりまぜ15本見ました! 中国映画5本、台湾映画5本 ⑯~㉗は11月に見た映画の通し番号になっています。 ①~③は12月に入って…。 ⑯シャドウプレイ(風中有朶雨做的雲) 監督:婁燁  出演:井柏然 宋佳 秦昊 馬思純 張頌文 陳妍希(ミシェル・チェン)2018中国 125分 まずは2006年広州の川辺の林の中でデート中の男女が焼死体を発見、次に手持ちカメラとドローン映像で追いかけた目くるめくような映像で広州の立ち退きを迫られた町を青年たちが走り、そのまま住民と官憲、開発側の対立抗争場面へ、その場で開発側でこの町出身だとして住民を説得する唐が5階から墜死という事件の発端となり、その場に居合わせた若い刑事楊(この刑事も事故にあって認知能力を失って施設にいる父との何かを抱えている)が捜査を始める中で、不穏な事態が起こり、彼ははめられて職を追われ香港に逃げて事件の真相を探り続ける。 一方で開発事業のトップ姜と妻・娘小諾、昔からの盟友だった唐との関係、台湾で事業に成功して帰ってきた姜と、台湾時代からの共同事業者の女性阿雲(唐事件の背後にチラチラ影が見える一方すでに行方不明になっているという設定)の1980年代終わりから現代にいたるいきさつ関係が描かれていく。そして後半に至るとそれらの関係が縷々説明されて行き、そこに30年近くにわたる中国の近代化、富裕化の裏というかのし上がった人々の栄光も退廃も顕わになっていくという、すごくロマンティクな、それでいながらミステリーというより一種のドキュメンタリー的社会派映画をみたような不思議な後味を残す、そう言う意味ではまさに婁燁!?という作品。 2時間を超えて息も切らさず見せるのだが、トップにはクレジットされていない秦昊、ミシェル・チェンら(トップクレジットの宋佳ももちろん)、大人パートの迫力がありすぎて、若者パートでヒ―ロー、ヒロインであるはずの楊と

【勝手気ままに映画日記】2019年11月

イメージ
妙義山中間道から関東平野…紅葉には少し早い?11月10日です。 こちらは今や日本で一番遭難が多いらしい、妙義の岩壁です。上にも人がいますが…。 11月は22日までに16本。この後の東京フィルメックス(23日~12月1日)は次号にて。 🌸マークは、ちょっとお勧め・お気に入り…あくまでも個人的趣味ですが…。 ①教えてドクター・ルース②風をつかまえた少年③この星はわたしの星じゃない④あなたを、想う(念念)⑤ザ・レセプショニスト(接線員)🌸➅聖なる泉の少女 (NAMME)⑦パリに見いだされたピアニスト➇プライベート・ウォー➈象は静かに座っている⑩誰にも言えない小さな秘密⑪ひとよ⑫第三夫人と髪飾り🌸⑬ノー・スモーキング⑭宮本から君へ🌸⑮マチネの終わりに ①教えてドクター・ルース 監督:ライアン・ホワイト 出演:ルース・K・ウエストハイマ― 2019米 100分 映画の出来というよりも主人公たるドクター・ルースのビジュアル(40代ぐらいより 90の今が魅力的)も含めた人柄と、ナチス下のドイツで両親は収容所で死亡、本人はスイスの寄宿制の施設に預けられることにより命を長らえ、戦後イスラエルのキブツに住み、イスラエル軍の訓練を受け狙撃兵に、そして、やがてソルボンヌに留学、恋愛や結婚によってアメリカに移住し、やがてセックスカウンセラーとして世に出て売れっ子になるという経歴が映画の作りにかかわらず興味を引くという映画。3度目の結婚はスキー場で知り合ったお連れ合いで、高齢の今もスキーを楽しんでいるというのに個人的には惹かれるし。いろんな人生があってすごい人もいるんだなあ…とただただ惹かれて見ていた。(11月5日 下高井戸シネマ) ②風をつかまえた少年 監督:キウェテル・イジョフォー 出演:マックス・ウエル・シンバ アイサ・マイガ 2018イギリス・マラウイ(英語・チェワ語) 113分 原作はウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミラーのノンフィクション(2010・文芸春秋刊)干ばつで人々が飢えと貧困に苦しむマラウイで学費が払えず学校をやめざるを得なかった少年ウィリアムが、学校の図書館にこっそりこもって独学し、風車を作り風力発電をすることによってポンプが使えるようする。村は干ばつから救われ二期作で作物の収益が上がったという話を、ほぼ