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山形国際ドキュメンタリー映画祭2019

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台風19号が近づいた10月11日から、さなかの12日、新幹線が動かない13日を経て、15日まで、2年ぶりの山形国際ドキュメンタリー映画祭に行ってきました!見た映画は17本、毎日夜は飲んで映画を語り12時過ぎにホテルに帰るという忙しくも楽しい日々。以下は見た映画気まま速報?(でもない、すでに)です。今回の大賞は王兵の大作『死霊魂』⑤でした。ほかに私が見た中で賞をとったのは『エクソダス』1本だけ。その意味ではあれあれ?私の趣味が悪いのか、それとも映画祭の新傾向なのか…。 ①戦場の女たち(英語版)②約束の地で③さまようロック魂④エクソダス⑤死霊魂➅ナガランドの胎動⑦ミゾ民族戦線:ミゾ蜂起➇別離➈自画像:47KMの窓➉ユキコ⑪あの店長(The Master)⑫誰が撃ったか考えてみたか⑬映画の都⑭ラ・カチャダ⑮駆け込み小屋⑯美麗少年⑰自画像:47KMのスフィンクス ①戦場の女たち(英語版) 監督:関口典子 撮影:クリス・オウエン 1990オーストラリア パプアニューギニア・日本(英語・日本語・トクピシン語)54分 1990年、昭和の終わりに、パプアニューギニアの元従軍慰安婦や兵士にインタビューをして作った映画。当時はまだ元兵士も、また慰安婦にされたり、されないまでも日本軍の強硬な食料調達などの被害にあった人々が経験者として存命だった。島の人々と、慰安所の検査などに当たらされた産婦人科医の発言がある一方、そんなことはしたことがない、国が責任をとることではないと真面目に言う元兵士たちの食い違いなども出ていて、ウーン。『主戦場』などで声高に叫ぶ修正主義者にも見せたいような映画。 英語版で機器による同時通訳がつくが、「いあんぷ」というのが気になる。「いあんふ」なのか「いあんぷ」なのか。「かんごふ」も「ほけんふ」「じょさんふ/ぷ?」も今や死語だしなあ。(10月10日 山形市民会館小ホール AM/NESIA オセアニアの忘れらた「群島」) ②約束の地で 監督:クローディア・マルシャル 2019フランス(ボスニア語・フランス語・ドイツ語)77分 14歳で夫の家族とともにボスニアからフランスに移住した妹と、ボスニアに残る家族、特に姉は子どもとともに国外に出たく、ドイツに行っ

【勝手気ままに映画日記】2019年9月

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やっと好天の高尾山。でも富士山は見えない。本当なら木と木の間、右側の山あいあたりに見えるはずなのですが…秋が深まっていくのを楽しみに。また来月も見に行きたい。 こちらも高尾山で遭遇 ①引っ越し大名②工作 黒金星と呼ばれた男③僕はイエスさまが嫌い④共犯者たち⑤帰れない二人(江湖児女)➅ニッポニア・ニッポン⑦台風家族➇よこがお⑨ペトラは静かに対峙する➉北の果ての小さな村で⑪あなたの名前を呼べたなら(SIR)⑫ある船頭の話⑬狼煙が呼ぶ⑭見えない目撃者⑮ディリリとパリの時間旅行(吹替版)⑯命みじかし、恋せよ乙女⑰人間失格 太宰治と3人の女たち⑱アイネクライネナハトムジーク ①引っ越し大名 監督:犬童一心 出演:星野源 髙橋一生 高畑充希 濱田岳 松重豊 小沢征悦 西村まさ彦 及川光博  2019日本 120分 「超高速!参勤交代」シリーズを手がけた土橋章宏の時代小説「引っ越し大名三千里」が原作だそうで、これがどのくらいフィクションでどのくらい史実も入っているのかは、まあ眉唾なエンターテイメント。出て来る人々がみんな現代人だしね、それはそれで楽しめるのだけれど…引きこもりの書庫番だが誠実な知恵者(星野源は意外性なく演じている)と、ちょっと頭は軽そうだが滅法腕の立つ御刀番(髙橋一生、さすがに達者で、最後の立ち回りも楽しそう)が亡くなった元引っ越し奉行の出戻り娘の叱咤激励と知恵を借り(高畑充希もはまり役!可愛くて厳しく強いところが楽しい)姫路藩の豊後日田への石高半減という過酷な引っ越しをやり遂げるという喜劇。若者(といっても30代とか)が元気で、家老級の中高年がダメダメという感じの若者映画だね…。嘘っぽさも、描かれていないところがどうなっているのとかつつきだせばもちろんいろいろあるだろうが、とにかくまあ、頑張って引っ越し後、さらに2回にわたる引っ越し15年後までを描いて最初の引っ越しを集結させているというのもなかなか。ピエール瀧が、姫路に置いていかれ帰農し、15年後には迎えが来るも農民として姫路で生きる決意をするという藩士を演じている。彼もこれで映画界に帰参ということか??(9月1日 府中TOHOシネマズ) ②工作 黒金星と呼ばれた男 監督:ユン・ジョンピン 出演:ファン・ジョンミン イ・ソンミン チョ・ジヌン チョン・ムテク

【勝手気ままに映画日記】2019年8月

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    山歩きもけっこうできるようになりましたが、それにしても天気にめぐまれず。眺望を求めて2度の高尾山、でもこんなものです…。 そして名物とろろそばと牛タンと生ビール、やれやれ で、すっかり温泉に入り浸り… ①リラの門②旅のおわり 世界のはじまり③レイバー映画祭2019(『外国人収容所の闇』『植民地支配に抗って~3.1朝鮮独立運動』『ユニクロ払え~インドネシア縫製労働者のたたかい』『フランス・黄色いベスト運動』『沖縄・宮古島ではいま~自衛隊がやってきた』『自販機ユニオンのストライキ―8時間で暮らせる賃金を!』『ユナイテッド乗務員のたたかい~首切り自由は許さない』『連帯がこなければよかったのに』『アリ地獄天国』)④世界の果ての鼓動⑤存在のない子どもたち⑥アルキメデスの大戦➆夏少女➇煉瓦女工➈凪待ち⑩ブラック・クランズマン⑪台北メトロ淡水河の奇跡⑫サウダーヂ⑬15マレーシア⑭ラブン⑮隣の影⑯ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス⑰イソップの思うツボ⑱ダンス ウイズ ミー⑱影SHADOW 影武者⑲作兵衛さんと日本を掘る⑳おっさんずラブ㉑さらば愛しきアウトロー(THE OLD MAN &THE GUN)㉒トールキン 旅のはじまり㉓ワンス・ア・ポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  印象に残った映画に久しぶりに★をつけてみました。あくまで個人的な趣味ですけど。 ①リラの門(4Kデジタル・リマスター版) 監督:ルネ・クレール 出演:ピエール・ブラッスール ジョルジュ・ブラッサンス アンリ・ヴィダル ダニー・カレル  1957仏 99分 映画文法にしっかり従って作られた古典的名画という感じ。出だしのカフェ、カメラの移動に従って、それまで顔を見せなかった登場人物が順次主人公ジュジュの背中から顔を見せていくところとか、ジョルジュ・ブラッサンスの甘いが哀愁に満ちた歌による語りとか。貧乏でぐうたらなジュジュとギター弾きの友情―ワインのやり取りでつなげていく構成、そして匿ったイケメン強盗犯の身勝手さとそれに翻弄されてしまうカフェの娘(現代にいそうもないような、でも一昔前のフランス的容貌)、自分の気持ちに気づいてももらえず振られるジュジュの悲しさ。省略話法で100倍語るクライマックスとか。それにしても登場人物たちの風貌、現代の感覚

【勝手気ままに映画日記】2019年7月

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夏だ!夏だ!夏がきたぞ~でもあいかわらず遠出できず。 マンションから眺める都心面の空     ©shiori 府中の夕空    ©shiori ①新聞記者②コレット③誰もがそれを知っている④COLD WAR あの歌、2つの心(ZIMNA WOJNA)⑤Girlガール⑥嵐電➆シンク・オア・スイム イチかバチかおれたちの夢➇こはく➈クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代⑩氷上の王 ジョン・カリー⑪メモリーズ・オブ・サマー⑫巴里祭⑬アマンダと僕⑭天気の子 ①新聞記者 監督:藤井道人  出演:シム・ウンギョン 松坂桃李  北村有起哉 田中哲司  2019日本 113分  東京新聞望月衣塑子記者の著書「新聞記者」に触発されたフィクションだそうで、望月氏自身もTV討論の場面に出演している。東京新聞がモデル?の東都新聞。記者の吉岡エリカのもとに、医療系大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届き、彼女は、真相を突き止めるべく調査に乗り出す。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は、現政権に不都合なニュースをコントロールする任務に葛藤していた。そんなある日、杉原は尊敬するかつての上司・神崎と久々に再会するが、神崎はその数日後に自殺をしてしまう。真実に迫ろうともがく吉岡と、政権の暗部に気づき選択を迫られる杉原。そんな2人が出会い、杉原の助力で、エリカが内閣府が認可する医療系大学の秘密をスクープするという話で、そこにエリカの父が自殺した過去や、杉原の妻の妊娠出産ー父になる杉原の決意などがからむ。松坂もシム・ウンギョンも、それに杉原の妻役の本田翼も人気スターのオーラを消してリアルな等身大の人物として演じている感じで、それが地味だが力強い映画の力を醸し出している。シム・ウンギョンは日本人の父と韓国人の母をもちアメリカ育ちという設定で、口数は少なくてぶっきらぼうだが力強い語調はことばのハンディを上手にカバーして、この記者の派手ではないが、しっかりと真実を見据えていこうとする強さとか粘り強さを感じさせて悪くない。とにかく、いかにも東京新聞?という感じで(実名で朝日、毎日、読売が後追い取材を始めたと喜ぶシーンがある)しかも決してハッピーエンドでは終わらせない怖さもあって、印象に残る幕切れまで息もつかずに見せる。平日夕刻近くの映画館は、高年男

【勝手気ままに映画日記】2019年6月

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脚はだいぶ良くなった、なのに梅雨に入った6月は山歩きもままならずー「職場」の大隈庭園の晴れ間に。ウーン、外に遊びにいきたいよ~ ①ともしび(Hannah)➁ルンタ③長いお別れ④池谷薫演出NHKスペシャルプログラム『西方に黄金の夢ありー中国脱出、モスクワ新華僑』『黄土の民はいま―中国革命の聖地・延安』⑤ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ⑥魂のゆくえ➆さよなら、くちびる➇ザ・クロッシング(太平輪 乱世浮生)part1➈幸福なラザロ➉ビル・エヴァンス~タイム・リメンバード⑪リアム16歳 はじめての学校⑫亡命⑬バーニング・劇場版⑭ザ・クロッシング(太平輪 彼岸)part2 ⑮12か月の未来図(Les Grands Esprits)⑯パパは奮闘中⑰山猫⑱沖縄(1部 一坪たりともわたすまい 2部怒りの島)⑲家族にサルーテ―イスキア島は大騒動―⑳スノー・ロワイヤル㉑岡本太郎の沖縄㉒僕たちは希望という名の列車に乗った ①ともしび(Hannah) 監督:アンドレア・パラオロ 出演:シャーロット・ランブリング アンドレ・ウィルム 2017仏・伊・ベルギー 93分 『まぼろし』『さざなみ』ときて、邦題はひらがな4文字の『ともしび』というわけで、題名がなんか暗示をしているというふうだが、そうなんだろうか。原題は『アンナ』でヒロインの名前。出だしは演劇教室で絶叫するアンナの顔が画面半分、それにこたえる同じ教室の仲間のおなじく叫び声。次は家で夜夫と食事の場面、電球が突然切れ、夫が立ち上がって新しい電球に替えるが、この間彼女は一言もなし。冷め切った夫婦なのかしらんと思うと、次の朝二人は連れ立って出かけ、夫はそのまま収監されてしまう。あとは彼女の孤独な日常が延々と続く。盲目の子がいる家庭での家政婦の仕事、週に一度の演劇教室、夫との面会、その行き来の地下鉄の中。階上に住む子供のいたずら?で寝室に水漏れが起ったり、孫の誕生祝いをしたくて息子に電話、ケーキを作って持っていくが冷たく門前払いされたり。水漏れの修理を頼んで業者が来てドレッサーを動かすと後ろから封筒が出てきたり、通っていたジムのプールからは会員権がなくなっていると締め出され、そして彼女は夫とともにかわいがっていた犬(子供に冷たくされて、犬に依存するようすまで見せる)を手放し、最後は家政婦の仕事を早退し、