【勝手気ままに映画日記】2019年1月

①いつだってやめられる―闘う名誉教授たち➁バルバラ・セーヌの黒いバラ③ぼけますから、よろしくお願いします④世界一と言われた映画館⑤にがい米⑥ゼロ地帯(KAPO)⑦蜘蛛の巣を払う女 ➇ガンジスに還る⑨生きているだけで、愛⑩台北暮色(強尼・凱克)⑪華氏119⑫ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー⑬迫りくる嵐⑭ピアソラ


1月2日 お正月は恒例の高尾山からみた東京!!


①いつだってやめられる―闘う名誉教授たち

監督:シドニー・シビリア 出演:エドワルド・レオ ルイージ・カーショ ステェファノ・フレージ グレタ・スカラ   2017イタリア 119分 



ようやく今年第1本目の映画は、昨年6月、9月に(2作目、1作目の順で)見た『いつだって辞められる』シリーズの第3作完結編。今回は2作目から登場した敵役(といってもこちらも研究費削減の大学でそれが理由の事故によって恋人を失い大学からも追われたという悲劇的な背景を抱える研究者)ルイージ・カージョの格好いい犯罪アクションから始まる、つまり見せ場はどっちかというと彼のほう?という構成。ヴァルテルが大学関係者への報復を企てたくらむテロを、今や皆屏の中にいる10人の教授たちが阻止しようとして、24時間を期限に認められる脱獄(つまり24時間以内に戻れば脱獄とは認めないというのだが、イタリアにはそんな仕組みがあるの?ホント?)をして知恵を合わせ、2作目で彼らを協力された女性警部の力も借りて、テロを防ぐという話。1作目に比べると、ポスドク?の切実さは薄い(だってみんな一丁前の「犯罪者」になって獄中にいるわけだし?)、2作目に盛り込まれたカーチェイス・列車飛び乗りとかの息もつかせぬアクション場面はないけれど、10人がそれぞれにささやかな感じではあるが個性(つまり専攻)を発揮して目的に迫るという点では、退屈はしないし、なるほどよくできている。それにしても彼らを切り捨て大々的な受賞?パーティが行われるその研究環境格差みたいなものは切り捨てられる側にとっては切実で、どちらかと言うと(見栄えもいいし?)ヴァルテルに同情してしまうなあ…。テロを防ごうとする側の行動は面白いけれど、動機については描き方が常識的というかあまり説得されない感じもある。10人が体制側によってしまったという感じだからかな…。  (1月7日 下高井戸シネマ)



➁バルバラ・セーヌの黒いバラ

監督:マチュー・アマルリック 出演:ジャンヌ・バリバール マチュー・アマルリック 2017仏 99分

ジャンヌ・バリバール演じるバルバラは、劇中映画撮影とか、コンサートとか、インタヴュー?とかを連ねて特にドラマがあるわけでなく、彼女を映すという感じで映画は進んでいく。作者マチュー・アマルリックのバルバラへの愛にあふれた映画という感じだが、それだけにそこまでバルバラを愛したり、知ってはいない人は排除されてしまうような感じもあり、ただあれよあれよと見ているという99分間だった気がする。 
              (1月11日 川崎市アートセンター アルテリオ映像館)


③ぼけますから、よろしくお願いします

監督・撮影・語り:信友直子  2018日本 102分

作者信友直子は1961年生まれ、被写体となった両親は大正9年生まれの父(95歳当時)と昭和4年生まれの母(86歳)で、この2人はちょうど大正7年生まれと昭和2年生まれの私の母と2歳違いの同じ年齢差の夫婦で、つまり、私にとっても親世代の老いた夫婦を描いた映画ということになるのだろうが、とてもそうは思えなくて、自分自身の老いゆく姿をどうしても投影してしまい身につまされてしまう。認知症を患い自分が記憶を失ったり人格制御ができなくなりつつあることを、はっきりしているときには自覚して恐れている母の姿には、誰にでも自分にでも来るであろうその日の存在を感じて恐れるし、95歳にしてヨタヨタしながらも今までしたこともないゴミ出し、洗濯、掃除、洗濯もの畳み、料理、リンゴの皮むきなどを当然のこととしてこなしつつ、母の相手になり、自らも新聞の切り抜きとか読書をし、散歩をするという父の強靭な知性のありように、ウーン、とてもあんなことはできないなあと自らの将来を鑑みてこれも恐ろしい。二人の若い時の姿(写真も一部動画も)も映し出されさらに、ああ、人は年を取る…。50代の娘はそういう両親を前にカメラを回し、介護ヘルパーなどが来ればそれも映し、一緒に家事をしたり手伝う姿がないわけでないがおおむねカメラの眼になっている。そのプロ根性もなかなか真似ができず、受け入れている両親もすごい…とにかくすごい、私の想像の埒外というか想像はできるが、とても真似はできないという暮らしぶりを見てすっかり感情的に考えさせられてしまった。          (1月11日 川崎市アートセンター アルテリオ映像館)


④世界一と言われた映画館

監督:佐藤広一 出演(語り):大杉漣 (証言協力)井山計一 土井寿信 佐藤良広 加藤永子 2017日本 67分


「YIDF]が企画制作したというこの映画の存在は知っていたが、まさか立川のシネコンで上映するとは(1月12日現在都内での上映は2館のみ)と、喜び、雪さえ舞いがちという寒い夕方見に行く。観客は7名?、私ともう一人以外は皆比較的若い男性ばかりで全員1人鑑賞。まあ、そうだろうな、もたいないな、とも思いつつ、話もせず、ポツンポツンと散らばって座っている人々になんとなく親近感も。内容的にもそういう映画かもね。山形県酒田市にあり、淀川長治から「世界一」と評されたこともあり、酒田の文化の拠点になるような存在だった洋画専門館グリーン・ハウスは、1976年の酒田市大火の火元となり、その後再建されることはなく消えた。その成り立ちや、体験を9人の証言者が語り、当時の写真や支配人だった佐藤久一の写真や思い出もともに語る。かつて商港として栄えた酒田の街や、コーヒーハウス、洋酒カウンターや、20席の師ねサロンも付設して、とてもおしゃれで文化的だった、それはまさに日生劇場で修業をして帰ったという支配人佐藤のビジョンを反映するものだったということが一人ひとりの証言者の「愛」にあふれる証言でまざまざと感じられる。それにしてもそれだけの思いを持ち、市内ではフランス料理店なども経営してユニークな文化人として鳴らした佐藤久一にとって、900m×250mの範囲がすべて焼き尽くされる火事の火元になってしまったというあとの、人生の困難さはいかなるものだったのかと、映画ではそのあたりにはあっさりとしか触れられないが、想像を絶する。焼失後40年以上を経てようやくこの映画ができたのもそういうことなのかな、とも思わされる。(11月12日 立川シネマシティ)

⑤にがい米

監督:ジュゼッペ・デ・サンティス 出演:ヴィットリオ・カズマン ラフ・ヴァローネ シルヴァーナ・マンガ 1949イタリア 107分

なんといっても迫力は北イタリアの水田地帯にイタリア各地から低賃金で集まって田植えをする女性労働者たちの群れで、こういうのは同じ水田地帯でもアジアではあまり見ない光景だよな…と。物語はそこに紛れ込んだ逃亡中の窃盗犯カップル。それに彼女に声をかけるダンスの上手な出稼ぎ女性と除隊前の兵士が、米泥棒にからむすったもんだ、銃撃戦?から悲劇的結末まで息も切らせずと言いたいところだが、案外テンポがゆっくりだし話が込みいっている感じで、107分とは思えない長さに感じられ、その辺はとても古典的な作りだなあと思うが、それでも終わりのむなしさ悲しさはドラマティクでなかなか。題名だけは知っていて中身は見たことがなかったイタリア・ネオレアリズモの1作。
(1月13日 下高井戸シネマ イタリアクッシコ映画祭) 


⑥ゼロ地帯(KAPO)

監督:ジッロ・ポンテコルヴァ 出演:スーザン・ストラスバーグ ローラン・テルジェフ エマニュエル・リヴァ 1960イタリア 118分


ピアノレッスンから帰った少女エディットは自宅前でトラックに乗せられようとする両親を見つけて駆け寄り、一緒にユダヤ人収容所に送られることになる。両親とは引き離され、子どもと老人は皆殺しと知って、彼女は監視の隙を見て建物から抜け出し、収容所内をさまよううちに、ある囚人に助けられ同じ囚人の医師に、死んだ少女と身代わりになる形で新しい名前を与えられ、ユダヤ人ではなく犯罪者として、必ず生き延びよということばとともに別の収容所に送られるという形で生きることになる。そこで知り合う年上の女性の幾人かに様々な形で影響を受けながら、彼女は生きるためになら何でもするという信念の中、ナチスの看守の求めに応じて裸になり、愛人になり(このあたりのすっ飛び方というか省略法もすごくて、彼女の最初丸刈りに近いショートにされた髪が長くなるという感じで時の経過を表すが、まあ、あれよあれよという感じも)そしてKAPO(これが原題)になり、後半は、ロシアから送られてきた囚人たちの一人との絡みになる。出だしのいかにもかわいらしい大切に育てられた少女から、ナチスに取り入り他の囚人を顧みずカポとして動くあたりはなんだかびっくりするほど憎々し気なイメージになり、彼女がロシア兵、サーシャに心を惹かれるというのもなんだかなあという感じもするのだが、最後いよいよ連合軍がやってくるという段になると、その前に囚人を皆殺しにしようと彼ら自身に彼らを埋める穴を掘らせる看守たち、そのすきに収容所を囲む高圧電流を切って脱走を試みようとするロシア兵たち、そしてサーシャへの愛から最後に自分が死ぬとわかっていても変電所に赴くニコル=エディットというのも見せ場としてはすごいが、ウーン。あり得るかななんて思ってはいけないのだろう。それにしても囚人皆を助けるためとロシア兵は彼女を言い含めるが、実際にはバタバタと倒されていくわけで、これもウーン。迫力あり、息を切らせぬのは確かだが、一点、収容所の囚人女性たちが、メイクはそれなりにげっそりしてるのだが、栄養満点そうな体系の人も結構いたりしてそのリアリティは見ながらなんか気になる。反戦映画なのかしらん…なんかなんのために作られたのかあまり伝わってこない感じ。    (1月13日 下高井戸シネマ イタリアクッシコ映画祭) 

1月14日 月の半ばは沼津アルプスからみた富士山 雲がかかっています。

⑦蜘蛛の巣を払う女

監督:フェデ・アルバレス 出演:クレア・フォイ スヴェリル・グドナソン レイキ―ス・スタンプフィールド シルヴィア・フ―クス スティーブン・マーチャント    2018イギリス・ドイツ・スウェーデン・カナダ・アメリカ(英語版)


2009年の『ミレニアム3部作』(ニールス・アルデン・オプレヴ)のリスベット役ノオミ・ラパスの印象がとっても強烈で、 2011年のハリウッド版『ドラゴン・タトゥの女』(デヴィッド・フィンチャー)のルーニー・マーラーはちと可愛らしすぎ?という感じもあって実はあまり印象に残らなかった。で、これはデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮にまわり、監督も主演も変わったハリウッド版の続編ということらしい。主演のクレア・フォイは今までで一番普通の人っぽいかな。わりとずんぐり(というほどではないが前の2人に比べると)で背も低め、腰回りも太目だし迫力には欠ける気がするが、それだけに底知れない能力?みたいなものも感じさせる?ただし、この映画リスベットのハッカーとしての能力を見せるというより、アクションシーンに偏っていて、やられながらも打たれ強いリスベットのイメージが前面に出ている感じで、話はわりとシンプルでわかりやすいが、リスベットのイメージとしてはちょっとどうかな?という感じ。冒頭と終わりのほう中心に明らかにされる父と、双子の妹(映画ではsisiter としか言っていないし…雰囲気としては金髪で背の高い「妹」カミラのほうが姉っぽい)との問題もおどろおどろしい画面の雰囲気、音響、そして氷雪の白い景色の中の黒いリスベット、赤いカミラというビジュアルのわりには(というか、そっちに頼ったのかな?)シンプルにあっさりという感じで、より娯楽作としての方向を追求したということか…。(1月16日 東宝シネマズ府中)


➇ガンジスに還る

監督:シェバンシュ・ヴディアニ 出演:アディル・フセイン ラリット・べヘル ギータン・ジャリ・クルカルニ  2016インド 99分 

死期を悟った人がそこに向かうというヒンズー教の聖地ガンジス川のほとりのバラナシ。そこに行くことを宣言し出発する父と、忙しい仕事を休むのも大変だし、行っている間にも携帯でつながれているという状況で父に付き添っていく中年の息子を中心に家族を描く、というわけで話しの展開はなんとなく予想がつくしその予想通りにきわめて真面目に展開していくという意味で、初めて見る映画ではないような「既視感」がつきまとうほど。けっこう長く感じたが、バラナシでの父の滞在が3月2日からで、死が3月末、ということで20日余りの出来事というわけなのだった。それにしても関心が高い題材なのであろう。30分前に受付に行くとすでに46番。開始時にはほぼ満席で中高年層が並ぶ…。
(1月18日 川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)


⑨生きているだけで、愛

監督:関根光才 原作:本谷有希子 出演:趣里 菅田将暉 仲里依紗 田中哲司 西田尚美 石橋静河 松重豊  2018日本 109分 


趣里という女優のちょっと特異な感じのする美貌(水谷豊+伊藤蘭、顔立ちとしては上戸彩、芦田愛菜と3姉妹もしくは母子+姉妹を演じてもいいかもという風貌かな)のゆえか、そして若いけれどなかなかの演技力もあって、エキセントリックで、過眠症+うつ?というような寝てばかり、一見自堕落に追い詰められて行っている精神状態がとてもリアルに演じられていて切々と迫ってくる。仲里依紗の美貌のエキセントリックも(本当にヒロインよりも異常性が強いがその認識が本人にはないという気持悪さが、今までの仲里依紗にはない感じで凄みがあった)他の登場人物も一見普通でありながら、なんか半端にずれている感じの不気味さも…。女性の迫力の前では最近評判の「菅田将暉」クンもなんか影が薄い感じ?いや、生きていくのは大変だ―特に鋭敏な若者にとっては…鋭敏さが逆に見かけの自堕落さにもつながってしまうわけだし…永遠のテーマだね。これは…ガンバレ若者、という感じがする。(1月18日 川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)

⑩台北暮色(強尼・凱克)

監督:黄煕 プロデュース:侯孝賢 出演:柯宇綸 リマ・ジダン 黄遠      2017台湾 105分


2017年東京フィルメックスでは『ジョニーは行方不明』の題名で上映。実は画面の美しさのほかはあまり印象が残っていなかった。11月?のユーロスペース公開もそんなわけでパスしていたのだが、見た人の評判がすごくいい、のでとうとう、新しくできた吉祥寺アップリンクの初偵察もかねて行ってみた。
あ、こういう映画は映画祭の1日3本4本の鑑賞の中に埋め込んでみた気になってはいけないんだと再確認。物語は大きな展開を遂げるわけではないが一場面一場面がとても繊細に描かれる(それだけに字幕に誤字とかがあるのが、すごく残念、気分をそがれてしまう)。初めてみる映画を筋を追う気分でみていると、そういうところを取りこぼして何、これかったるい話だな、となるのだと思う。話しの筋はわかり、登場人物の関係もわかってみると余裕を持ってそれぞれのシーンを味わうことができ、テーマも沁みて来るという映画だ。
今回は、高捷もちょっと出ているのに、多分今回気づいた。それと張国柱扮する「怒りの祖父」の場面が、あー、と納得。そこに絡んでくるコンビニ前のフォン(風)とツーチー(子琪)の会話も…。時間にこだわる少年李は存在感があるが、彼が途中と最後に読む小説?の意味が、心惹かれるものはあるが今イチ分からない(これは李の存在自体もそうかな…)
エドワード・ヤンの『カップルズ』を思わせるとか、の批評もあるが、私は、なんか『ヤンヤン』を見た後の感じに似ているなと思った。

以下は、17年初見の時に書いたもの
香港から台北に引っ越して住み着く女性、彼女のアパートの大家の息子、そのアパートに出入りする工務店の職人の3人を中心に彼らを取り巻く人々のやり取りを描くが、特にドラマティックな展開があるわけでもなく、職人はしばしば調子の悪い車をエンストさせ、大家の息子は一人河原を歩いたり自転車で彷徨し、女性のもとにはひどく支配的な感じの恋人が(香港から?)訪ねてくるが二人の間はぎくしゃく。そして8年前男が女を捨てて金のためパメラという女と結婚したことが分かる。女には香港に小学生の娘がいるがその子の父はそうすると誰ってことだろうか・・・女性のもとには引っ越し直後から「ジョニーを探している」という間違い電話がたびたびかかってくる。間違いなのだがいつのまにか電話をかけてくるジョニーの家族や知人との間につながりができてくるような、そんな人間同士のつながりを描きたかったらしい。職人フォンは柯宇綸、彼の友達のけんかばかりしている父親が張国柱、女性ツーチーはインコを飼っているが、それが逃げたことからフォンと知り合い、そこにも一種のつながりができるということが描かれる。台北の夕景や高速道路の景色がめっぽうきれい。
(1月22日 吉祥寺アップリンク)

⑪華氏119

監督:マイケル・ムーア 2018米 128分 

例によってマイケル・ムーア節だが、単純にトランプ政策批判をするのではなく、トランプの登場を許していくさまざまな要素、たとえば民主党の問題とかも丁寧に書いていくし、ナチス映像と重ねたりもして歴史的なところからも語り起こしているので、見ていて、今それこそ「ボーっと生きてんじゃねーよ」と言われているような感じになり怖くなってくる。今はすでに「戦前」だというのはずっと感じているところだけれど、その感をさらに強くしてうつむいて劇場を出るような映画だ。(1月23日 下高井戸シネマ)

⑫ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー

監督:ダニー・ストロング 出演:ニコラス・ホルト ケヴィン・スペーシー ゾーイ・ドヴィっチ ホープ・デイヴィス   2017米 109分


正攻法で描いたサリンジャーの伝記映画。『アバウト・ア・ボーイ』から目を離せないできたニコラス・ホルトも30間近?の立派な大人になって今までのファンタジーっぽい役柄(でも彼の演じたゾンビ青年よかったけど)とかぶっ飛んだエキセントリックなアクションキャストとかではなく、普通の世界に生きる、普通とは言えないかもしれないがまあ普通の青年を演じて目には心地よい。今年サリンジャー生誕100年。『ライ麦畑』の後、後半の人生は隠遁で過ごしたこの作家の繊細な苦しみみたいなものを繊細に演じて納得の1本。ケビン・スペ―シーの役柄もなかなかにはまって納得だった。
 (1月24日 新宿・シネマカリテ)


⑬迫りくる嵐

監督 董越 出演’段夷宏 江一燕 杜源 鄭楚一 2017中国 119分

一昨年10月東京国際映画祭初見の1本。インパクトが強い映画だったからもういいかなと思っていのだが、前の映画をカリテで見て出てくるとちょうどピッタリの時間だったので見ていくことに。ガラガラの武蔵野館3スクリーン?それにしてもなんか見にくい映画館。でも人が少なかったので移動して前に人の頭がないところに。映画はインパクトは相変わらずだが、あ、これミステリーではなく、恋愛映画でもなく、アクション場面というか、工場~操車場への雨中のチェイスなんかもあるけれどアクション映画というのでもなく、中国90年代社会の激動の中、一生懸命なのだけれど、それゆえ変なところ?にのめり込みすべてを失う?男の話なんだなと、主人公にいささか同情。前に見たときは常に降る雨のシーンにすごく寒々しい印象を持ったが、確かに雨はひどいが場所は湖南省衝陽の街で案外寒くはないのかも。     (1月24日 新宿武蔵野館)


⑭ピアソラ

監督:ダニエル・ローゼンフェルド 出演:アストル・ピアソラ  ダニエル・ピアソラ 2017仏・アルゼンチン


娘が書いた伝記と、ともに音楽活動の経験もある息子が披露する映像と語りを中心に描いた伝記ドキュメンタりー。ピアソラ自身はあまり家族を顧みず、タンゴではないと批判されつつ新しいタンゴへの道を歩いたということで、意外性はそんなにない展開だけれど、残された演奏の映像。若い(幼い)息子や娘の映像などが興味深い。それにしてもウーン父の伝記を語る子どもたちというのはどういう感じなのかな…幸せなのか、それとも偉大な親を乗り越えられないことしてのつらさもあるのか…(客観的には感じてしまう)…。そしてこの映画に押し寄せる観客の多さに仰天。タンゴ好きが日本?にはこんんなに多かったのか、と自分を棚に上げて感心してしまう。音楽映画が妙に流行るのは『ボヘミアン・ラプソディ』効果?       (1月25日川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)



月末1月30日北海道 北見 斜里岳(あまりきれいに撮れなかった😞)
こちらはゲレンデと、左 斜里岳、右 藻琴山





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