【勝手気ままに映画日記】2020年4月


コロナに負けず・・・頑張りましょう!

武蔵国分寺近くの桜ー新型コロナ禍で遠出は自粛。3月、4月予定していた山歩きもすべて中止。家の周辺をぼちぼち歩いて運動不足解消の日々をすごしています。5月からは大学のオンライン授業が始まるのでその準備も…。フリーランスの在宅勤務?とはいえ、結構忙しい毎日です。


こちらは谷保天満宮の、高い木の上、天空に咲く藤の花


①カツベン②彼らは生きていた(THEY SHALL NOT GLOW OLD)   ③ソンランの響き④21世紀の資本  劇場で見たのは残念ながら4本だけ。

①カツベン
監督:周防正行 出演:成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 音尾琢真 井上真央 小日向文世 竹野内豊 2019日本 127分

いよいよコロナ問題の中で、映画を見に行くということにもちょっと勇気がいる?状況になってきたが見損ない見損ないの最終チャンスだし、上映をしている以上何の文句があろうかということで、マスク・消毒アルコール持参でで出かける。昼過ぎの下高井戸シネマ、それでも開始時には20人くらいの観客。
映画は大正時代の活動弁士の物語。カツベン大好き、そして好きこそものの上手なれでなかなかの腕前でもある主人公俊太郎が、怪しげな盗賊団の一員としてニセ弁士として有名弁士の名をかたるところから、そこを逃げ出し、隣町の新興館に押され、ちょっと落ち目な街の映画館に雇われ、あれこれの騒動に巻き込まれながら、追いつ追われつの中で活躍をしていくという、周防作品とは言っても『シャル・ウイ・ダンス』や『シコ踏んじゃった』のような成長譚ではなく、どちらかというと巻き込まれのドタバタ悲喜劇。
物語というより映画愛にあふれた映像の数々や頑張って弁士を演ずる成田凌や高良健吾らの語りに感心、田口浩正、正名僕蔵、それに徳井優の3人の音曲担当の雰囲気妙とかを楽しむ感じ。そして何よりの見どころは大正時代の映画を再現した無声フィルムの数々で、ここに草刈民代・城田優の『椿姫』とか細田善彦と上白石萌音の『金色夜叉』そしてシャーロット・ケイト・フォックスの『南方のロマンス』、『十誡』のモーゼの竹中直人とか、ちょこっとの出演なのだが贅沢でどこにだれがいるか気づいてはッという面白さも。そして最後に『雄呂血』(1925二川文太郎)の実在のフィルム映像も流れ、とにかく映画好きが作った映画好きのための映画だった。ちなみにこの後下高井戸シネマは休館。私はクラウド・ファンディングで支援をすることに。(4月6日 下高井戸シネマ 86)


②彼らは生きていた(THEY SHALL NOT GLOW OLD)
監督:ピーター・ジャクソン 2018英・ニュージーランド 89分


映画館が閉じる日前最終の1日。アップリンクでまとめて3本。小さいスクリーンだが、一席置きの販売、しゃべる人も傍若無人なせき込みなどもなく、入場前はアルコール消毒で、どうなんだろう、換気基準もあるし、こういうミニシアターを休館にする必要もないのではないだろうか、と思いつつ、とにかく見に行くことも支援だよなと思い見にいった。もちろん、マスク、水筒持参。
この映画は第1次大戦時に残された映像をスピードを統一、カラー化して、3D技術でリアルな映像にという、いわば現代技術の粋を見に行くというところ。実際には開始からずいぶん先まではスピードは統一されているみたいだが小さなモノクロ場面で昔のような映像が続き、あれあれ?とみていると前線の戦争場面から画面が広がり色も付くということで、確かに戦場の生々しい戦闘や、塹壕の中で休んだり倒れたりする兵士というような、あるいは血まみれの兵士なんていうのが迫真に迫るという感じで強調されているわけだ。音声は当時の少年兵たちが大人になってから回想して残したインタヴューの発言をつなぎ合わせ、もちろん?あらたに録音しなおしているのだと思う。また兵士たちが談笑したり戦場で叫んだりするようなシーンは口の形などから発話を復元して声優が録音しているのだとか。すごいな、と思うが、断片的なインタヴューをつなぎ合わせたナレーションはちょっととりとめない感じで、全体として筋道立てて何かを訴えるというよりは、まあ、映画を見ながらオジサンたちがそれぞれ述懐しているという感じでとりとめなく、いささかわかりにくいところもあるが、まあリアルさはある。
映画は終わりの方で戦場から戻った彼らが平和になっているが戦争の記憶を失っている街や人々に疎外されているという述懐が入るが、この平和な街や人々のシーンは再びモノクロの小画面に戻り、若い兵士たちにとって「生きていた」のはワイドでカラーの戦場だったのか…という感。原題は彼らが「not glow old」で大人にはなれなかったというほうが強調されていて、これも身につまされる。戦闘・戦争映画はあまり見たくないが、このような形で戦争を描いてこれはしっかり反戦映画なのだなと思った。
(4月7日 渋谷アップリンク 87)


③ソンランの響き
監督・脚本:リエン・ビン・ファット アイザック スアン・ヒエップ 2018ベトナム 102分

ベトナムの伝統演劇というカイオルン―京劇風なのだが音楽は演歌っぽい感じで化粧とかしぐさなども京劇より大衆的というか俗っぽい感じ―その主演女優だった母と芝居を支える音曲方でソンランというこれも伝統楽器の奏者との間に生まれ、幼い時から芝居の現場で育ったものの、両親の不和?により演劇の道を捨てて、いまややくざまがいの借金取り立て屋になっているユンと、取り立てに行った先の劇団の花形役者リン・フンの友情とも敵対ともつかぬようなかかわりから、ユンが再びソンラン奏者を目指す気になり…しかし取り立て屋時代の軋轢から恨まれて悲劇的な結末を迎えるという、すれ違いメロドラマ。話としてはなんとも大時代的でカイオルン(ミー・チャウという呼び方も?)の世界の俗っぽさも含めてちょっと抵抗があったが、そういう物語の中で、粗暴さ荒々しさにやさしさの片りんを見せるユン役のリエン・ビン・ファット(2018年東京国際映画祭新人俳優賞を取っている)とフン役のアイドルグループメンバーのアイザックのカイオルン演技は特筆に値する感じで引き込まれる。
お膳立てとしては『夜奔』(1999台湾 立徐功)なんかを思わせるようなちょっとゲイムービー?っポイ感じもするのだが、どうなんだろうか。話は全然『夜奔』みたいでなく少年友情ものみたいな単純さではあるんだけど、二人の醸し出す雰囲気は…という感じ(二人ともそれなりイケメンだしな)(4月7日 渋谷アップリンク 88)


④21世紀の資本
監督:ジャスティン・ベンバートン 出演:トマ・ピケティ ジョセフ・E・スティグリッツ 2019仏・ニュージーランド 103分

かの世界的ベストセラー『21世紀の資本』(トマ・ピケティ)をピケティ自身が監修し、出演して作ったという話題作。要は「格差」の存在を様々なインタヴュー(政治家や経済学者や…)や折り込んだ名作映画とか文学作品の記述を織り込みながら述べていくわけだが、次々変わっていく画面では結果というか主張が描かれるが、その原因とか過程に関しては直感的?な感じ(映像だから、ま、そうだよね)なので、ついていけなくなるとないがなんだかわからん…この日は感染恐怖を抱えつつ迷ったあげくの3本目であまり集中できなかったこともあり、ウーン、印象と最低限の言いたいことはわかったけど、一つ一つの場面の有機的なつながりというか、そういうのがあまりよくわからなかった。疲れた。  (4月7日 渋谷アップリンク 89)


我が家周辺あちらこちらの花木や緑たち













貴妃桜

その後にTVで見た映画(ほとんどは2度目3度目だけど…何回見ても楽しめるのが映画?)チャプリン特集、周防正行監督特集、今泉力哉監督作品集、特に今泉監督の作品は『愛がなんだ』くらいで、今まであまり見ていなかったので楽しめました。ちょっとホン・サンス作品にも似た味わいで男女の微妙な心の触れ合いや、知らないところで巡り巡って絡む人間関係などを静かに描いています。
        
①モダン・タイムズ   チャールズ・チャプリン 1936米    4月1日BSP
②思い出のマーニー   米林宏昌 2014日本 103分        4月3日 
③八年越しの花嫁                瀬々敬久 2017日本 119分        4月4日
④黄金狂時代      チャールズ・チャプリン 1925米    4月8日BSP 
⑤赤い河      ハワード・ホークス  1948米     4月10日BSP        
⑥トレイン・ミッション ジャウム・コレット・セラ 2018米・英 105分 4月11日CS
⑦シコふんじゃった   周防正行 1991日本 103分      4月13日BSP  
⑧街の灯        チャールズ・チャプリン 1931年米   4月15日BSP
⑨マラヴィータ   マーティン・スコセッシ 2013米・仏111分 4月17日CS     
⑩地球の静止する日   スコット・ディリクソン 2008米 106分 4月18日CS
⑪ファンシィ・ダンス  周防正行 1989日本 101分       4月20日BSP 
⑫殺人者の記憶法    ウォン・シニョン 2017韓国 128分   4月21日CS
⑬去年の冬、きみと別れ 瀧本智行 2018日本 118分       4月22日CS
⑭殺人狂時代      チャールズ・チャプリン 1947年米   4月22日BSP
⑮ダーティハリー4   クリント・イーストウッド 1983米   4月23日BSP
⑯コーヒーが冷めないうちに 塚原あゆ子 2018日本 116分    4月25日CS
⑰誰も知らない                       是枝裕和 2003日本 127分      4月27日BSP 
⑱パンとバスと二度目の初恋  今泉力哉 2011日本           4月27日CS
⑲知らないふたり       今泉力哉 2015日本           4月28日CS
⑳こっぴどい猫        今泉力哉 2012日本          4月28日CS
㉑PEACE           想田和弘               4月30日CS

未来へつなごう!!多様な映画文化を育んできた全国のミニシアターをみんなで応援
ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金

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https://motion-gallery.net/projects/minitheateraid






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