【勝手気ままに映画日記】2018年3月
①KU-KAIー美しき王妃の伝説(妖猫傳) ②ライオンは今夜死ぬ ③グレーテスト・ショーマン ④ベロニカとの記憶 ⑤シェイプ・オブ・ウォーター ⑥はじめてのおもてなし ⑦芳華 ➇ナミヤ雑貨店の奇跡(解憂雑貨店) ⑨追跡(追・踪)⑩奇門遁甲 ⑪ライスフラワーの香り(米粉之味)⑫無言の激昂(暴烈無声)⑬無敵名人の最強レシピ(絶世高手)⑭乗風波浪~あの頃のあなたを今想う ⑮僕の帰る場所 ⑯どこか霧の向う ⑰血観音 ⑱どこでもない ここしかない ⑲空手道 ⑳川流の島 ㉑ポッピー、ハリウッドに行く Redux ㉒昨日からの少女 ㉓朴烈(パクヨル)植民地からのアナキスト ㉔男たちの挽歌2018(英雄本色2018)㉕ネオマニラ ㉖中英街1号 ㉗ローズの秘密の頁 ㉘すてきなダイナマイトスキャンダル ㉙女房の夫を探して ㉚ラジオのリクエスト ㉛ラヤルの三千夜 ㉜私の舌はまわらない ㉝遺灰の顔 ㉞ハッピー・エンド ㉟ピンカートンに会いに行く ㊱ちはやふる 結び ㊲15時17分、パリ行き ㊳ヒトラーに屈しなかった国王 ㊴恋多き女
⑦~⑭中国映画祭電影2018 ⑮~㉖大阪アジアン映画祭 ㉙~㉝イスラム映画祭
①KU-KAIー美しき王妃の伝説(妖猫傳)
監督:陳凱歌 出演:染谷将太 黄軒 2017中国・日本
実はこの映画2回見た。1回目は時差ぼけの真っ最中で、爆睡?してしまったらしく、ただきらびやかな画面の印象とクロネコの切り張りしたようなはめ込み映像しか記憶に残っていない。2回目は心してみたのだけれど、そして1回目ではすっ飛んでしまった暗い色合いの場面とか、日本での老師(老いて大活躍?に思える日野正平)との場面など、決してきらびやかなキンキン場面ばかりで構成された映画ではないことはわかったが、うーん、なんちゅうか・・陳凱歌で言えば「プロミス」系の荒唐無稽キラキラ大作である・・のは原作の問題?空海や白楽天は事件の30年後の謎解きをする探偵役、阿部寛の阿倍仲麻呂の出番は思ったよりは少なく軽く、楊貴妃の死の謎とそこにかかわる丹龍、白龍(これ最初一人二役かと思ったほどよく似た雰囲気に作っている)という二人の妖術使いの弟子の物語だが、登場人物が多いせいかなんか全体の人物の印象は希薄。過去と現代をつなぐ鍵になる官僚(秦昊)のパートも軽薄な印象はよく出しているけれど、それが過去と現代にどうつながるのか、今いち(私には)はっきり理解できず、うーん。やっぱり時差ぼけは直っていないのかと思わせれたような作品。一つには全編日本語吹き替えで、これもうーん。元の役者の声と、かけ離れた日本語音声もあり、是非今度は全編中国語バージョンを見てみたい。でも、ということは染谷将太や阿部寛の中国語は聞けないということかな・・
(180301府中TOHOシネマズ)
(180301府中TOHOシネマズ)
②ライオンは今夜死ぬ
監督:諏訪敦彦 出演:ジャン=ピエール・レオ ポーリーヌ・エチエンヌ モード・ワイラー 2017仏・日本
髪型が昔と同じでなければジャン・ピエール・レオとは思えないほど風貌が変わり老いたジャン・ピエール・レオを見る感慨?というかつらさ?というか・・・もっとも太ってしまってはいるが物腰にはかつての面影がみられる。彼が扮するのは老いた役者で、相手役の我がまま?で撮影が休止になり、かつての恋人の、今は人もすまず荒れ果てた屋敷を訪ねる。そこで若くして亡くなったかつての恋人の亡霊に会い、一方この屋敷には子供たちが映画撮影の舞台にすべく押しかけ、俳優としてのジャンにも出演を依頼する、というわけで実在の子どもたちと、若い幽霊との間で、死を夢想するジャンというのが、まあこの映画の構図。どんなに老いても心のある部分は若く、それは現実(子どもたち)でもあり過去への追想(恋人の幽霊)でもあるということだろうか。死を需要はできないまでも死に寄り添っていくことになる老いた役者の心情は若い時代のレオの姿も重ね合わせつつ理解できる。ジャンが最初に訪ねるのは昔なじみの生きた女性(この人にはいわば振られる)だが、その孫娘ユキを演じているのが諏訪の前作『ユキとニナ』のユキ(ノエ・サンピ)そのあたりも少し懐かしさにつながっている感じ。(180302 川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)
③グレーテスト・ショーマン
監督:マイケル・グレーシー 出演:ヒュー・ジャックマン ザック・エフロン ミッシェル・ウイリアムズ キアラ・セトル 2017米
すごい人気らしいけれど、あまり楽しめなかった。バーナムのサーカスが見世物として「ユニークな人(要はフリークス?)」を集めて成功し、彼らが自分たちの生きる場所が得られたと喜ぶのも、うーん、集める段階ではどう考えたって物珍しさや異質を面白がる観客の心情をくすぐるにすぎないし、その彼ら、半分は作り物?半分は実際に体が小さい人とかを起用しているのだと思われるが、どちらにも映画の演技以上のサーカスの芸人としての見せ場があるわけでもない。(シャム双生児役の二人の役者がつながったまま宙返りをするとか言っているレヴューを見たので目を皿にして見ていたけれど、私には宙返りシーンは見つからず)少年時代の仕立て屋の息子と富豪の娘の恋愛は大幅な省略話法が効果を上げておとぎ話のようでなかなかいい感じだったし、そこから貧しい時代、妻も支えつつ成功場面までと、そのあたりの人情噺としては平凡だしな・・・イギリスから歌姫を連れてきて公演旅行に出て妻とぎくしゃくする場面辺りは妙に生々しく現実っぽくなってしまうし、火事の場面はご都合主義的な解決だろうとも思えてしまうし。ザック・エフロン演ずる若いショーマンのパートは初々しい感じで悪くない。(180302府中TOHOシネマズ)
④ベロニカとの記憶
監督:リテーシュ・バトラ 出演:ジム・ブロードベント シャーロット・ランブリング エミリー・モーティマー 2015英
ロンドンで気ままな引退生活(離婚した妻ともまあ円満な付き合いがあり、娘はシングルマザーとして出産間近)をするトニーのもとに、初恋の人ベロニカの母親が残した日記を遺品として寄贈するという弁護士からの手紙が届く。いぶかりながらも弁護士にあってみると日記そのものは弁護士もあずかってはいないということで、遺産管理人としてのベロニカの連絡先を聞き出し彼女に連絡を取るトニー。ベロニカは会うことには応じたもののつれない態度で、日記も処分したという。この日記は若くして自殺したトニーの友エイドリアンが書いたもので、エイドリアンをベロニカ一家に紹介したトニーは、彼女とエイドリアンが親しくなったことから、恋に破れ彼らとの付き合いを断ったのだった。冷たいベロニカにむしろ惹かされ、トニーはストーカーまがいに彼女を追い回すことになる。と、前半はなんとも思わせぶりというか、どんなミステリーに発展していくのかと思わせるような流れなのだが、ベロニカの秘密?はわりと簡単に割れ、そこでトニーは過去を追憶し、さらに割れたと思われた秘密が実はトニーの勘違いでもあり、しかもそれは何十年か前の二人の別れにも絡む勘違いであった・・・と、ひどく傷つき、傷ついたはてに残された結果を背負って生きてきた、しかも多分エイドリアンの日記をトニーに残すというような母の行為にも傷ついているはずのベロニカの冷たい毅然と裏腹な優し気な笑顔を見せるシーンを演じてさすがにシャーロット・ランブリングのうまさ!全体としては思わせぶりな割に男の鈍感さを漂わせて。若い時の無意識の鈍感丸出しという感じの映像も含めて、なんか緩みがちという感じがした画面が、彼女が登場すると断然引き締まるという印象。もっとも終わってみれば、男のその鈍感さというか能天気さというのを感じさせるのも演出の妙?なのかもしれない。ただしやっぱり、このトニーというまあ、人はいいんだろうが鈍感な人生を歩んだという感じで、いただけない・・・・・それと、展開としては障がい者?を利用している感じでそこも感じが悪かった。 (180304 川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)
⑤シェイプ・オブ・ウォーター
監督:ギレルモ・デル・トロ 出演:サリー・ホーキンス マイケル・シャノン オクタビア・スペンサー リチャード・ジェンキンス ダグ・ジョーンズ 2017米
アカデミー作品賞受賞当日の鑑賞。といって特にまあ変わったことはないのだが。異生物との恋-囚われた異生物を愛し、助け出し、ともに逃げるという展開自体はすごくユニークというのではないおとぎ話だけれど、そこに1960年代米ソの冷戦下でのスパイ抗争がからみ、人種差別や、貧しい社会的弱者の置かれた生活への視点がからみという点がこのおとぎ話的映画に厚みや深みを与えている。幼時に傷つけられた?ことから口がきけず、極秘研究所で黒人女性とペアで掃除婦をするという設定はいかにも「弱者」的存在として位置づけられているが、その一途さを際立たせ、また何より印象に残るのはのはマイケル・シャノン演じるストリックランドという敵役。60年代風アメリカンドリーム的な家庭を築きつつ、上の評価により左遷させられる恐怖や、ここから逃れてさらに上に行きたいという上昇志向でがんじがらめになって自分をも傷つけていながら、それゆえに弱いものにはさらに居丈高に当たるという卑小かつ権威主義的な人物をこれでもかというほど憎々し気に演じるというのはアメリカ映画のさすが・・・だという気がする。(180305府中TOHOシネマズ)
⑥はじめてのおもてなし
監督:サイモン・バ―ホ―ベン 出演:ゼンダ・バーガー ハイナー・ラウターバッハ エリック・カボンゴ 2016独 116分
㉗ローズの秘密の頁
監督:ジム・シェリダン 出演:ルーニー・マーラ ヴァネッサ・レッドグレイプ ジャック・レイナ― テオ・ジェームス エリック・パナ 2016アイルランド 108分
50年にわたって精神病院に収容されていた女性の50年にわたって自分のうちに秘めてきた思いや秘密が明らかになるという筋立ては案外単純。その秘密も運悪く病院に愁傷されてしまったということを別にすれば、そんなに突飛なものでも特異なものでもないようにも思われる。ただ、1942年当時のアイルランドのイングランドとの確執、カソリックとプロテスタントの対立に排他的な地元の因習がからみ、そこに戦争の影響が働くといういような社会問題としての彼女の悲劇のほうがむしろ心に響いてくる描き方。50年後病院移転に伴って再判定に訪れた医師との間で話しが動いていくが、これについては映画冒頭「売り家」の看板を立てた住宅が出てくるところですでに「ネタバレ」の気があり、ちょっと描き方が安直ですぐに結末がよそうできてしまうし、それゆえ感動今いち・・という気も。原作があるようなのでそちらをちょっと読んでみたいと思うけれど。(180318川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)
㉘すてきなダイナマイトスキャンダル
監督:冨永昌敬 出演:柄本祐 前田敦子 三浦透子 峯田和伸 松重豊 村上淳 尾野真千子 2018日本 138分
㉙女房の夫を探して
監督:ムハマンド・アブデッラハマーン・タージ モロッコ1993 88分アラビア語
イスラム映画祭
90年代ごろのモロッコの金持ち家庭の雰囲気とか、3人の妻を公平に愛するなんてと思いつつ、3人目の妻(というか妻の間に序列はないのだそうで、一番若妻)につい3度目の離婚を言い渡して妻も出て行ってしまったものの、実は復縁したいので、法律に従って(3度目に離婚を言い渡した場合は、元妻が再婚し、さらに離婚した後でなければ最初の夫は結婚を申し込むことができないのだそう!!)妻と1日限り(ただしベッドをともにしなければダメなんだそう)の結婚をしてくれる男性を求めて結婚中の二人の妻や成人した娘なども巻き込んで夫探しをする男をコミカルに描くのを楽しむ映画?。うーん。世の中にはいろいろな文化があるということなのだね・・・元妻はベルギー留学から一時帰国中の男と無事結婚することになるが・・・主人公の最後の決意がまたけっこう奇想天外で・・・・この映画モロッコでは大ヒット、その後を描いた続編も作られたとのこと。(180320渋谷ユーロスペース)
㉚ラジオのリクエスト
監督:アブドゥルラティフ・アブドゥルハミド 出演:シリア2003 89分 アラビア語 イスラム映画祭
戦時下のシリアの山村、ラジオのリクエスト番組を楽しみに毎週火曜の放送日には村の長老格?の家に集まってくる村人たちを描く。この長老がとても懐が深い男で、家には口がきけない道化者のような居候を「息子並み」に扱っておいているし、近くの果樹園で働く男がクビになって逃げこんできても助け、彼と果樹園主にこき使われるお手伝いの女性が結婚すると言えば持参金の用意まで厭わない。自身の息子とその恋人にも寛容だが、息子には召集令状が来てしまう。そこからは兵営で思い出の歌がラジオから流れると恋人を思いいてもたってもいられなくなり休暇を願い出て故郷に駆け戻る息子、入れ違いに口のきけない男といっしょに兵営を訪ねる長老などがコミカルさも含めて描かれるが、最後に息子が戦死してしまうという悲しい結末に・・・・村の素朴な明るさと兵士も含め皆が善人、コミカルに、敵を描かず戦争の悲惨さも示すという、ちょっとエミ―ル・クストリッアみたいな雰囲気のある映画で、とても面白かった。(180320渋谷ユーロスペース)
㉛ラヤルの三千夜
監督:メイ・マスリ 出演: パレスチナ=フランス=ヨルダン=レバノン=カタール=UAE2015 アラビア語/ヘブライ語 イスラム映画祭
ヨルダン西岸部(イスラエル内のパレスチナ人の地区)に住むラヤルがテロに加担したと疑われ、イスラエルの刑務所に収監されてしまうという話。囚人にはイスラエル人、パレスチナ人がまじりあっているが、おおむねパレスチナ人は政治囚、イスラエル人は薬物中毒や、犯罪者という感じ。一応雑居房は分けられているが、ラヤルははじめはイスラエル人の房に入れられいじめをうけることになる。妊娠していることが分かりパレスチナ人の房に移るが、ここでも取引やスパイを疑われ安泰ではない。そして共謀ともいえる女性の看守たち、その中で裁判でも無罪は認められず、8年の刑を宣告された彼女が獄中で出産し、2歳まで自分(たち)で子を育て、引き離され、それでも獄中でイスラエル・パレスチナ両方の人々や、医務室で働く男性の囚人との繋がりができたりして、抗議のストライキなどもしながら生きていく壮絶な姿を描き大迫力。(180320渋谷ユーロスペース)
㉜私の舌はまわらない
監督:セルビル・トゥルハン 2013独 トルコ語/クルド語/アラビア語 92分
イスラム映画祭
トルコ内のクルド人の村の村人たちが村について?こもごも語る前半は登場人物がどういう人かもよくわからず、少し戸惑う。やがてその中の一人の女性、姉とはクルド語で話し、撮影者のセルピルとはトルコ語で話す彼女がセルピル監督の祖母であり、イスタンブールに移住している?ことがわかる。そして後半、ドイツの公営住宅のベランダで植物の鉢の手入れをする女性が監督の母、同じく父も登場し彼らがドイツに移民していることが語られる。そのことばはトルコ語中心だが、特に母は完璧なトルコ語をしゃべるわけでもなく、ドイツ語はほとんどしゃべら(れ)ず、母語であったはずのクルド語も今や忘れているという状態だと語られる。つまりこれが「私の舌は回らない』という題名の由来。一家の移民に伴う多言語状況を監督自身のセルフ(ファミリー)ドキュメンタリーとして内側から見つめた作品で、とても興味深く見た。監督自身は今40歳くらいの女性でドイツでドイツ語の教育を受け、母や祖母と話すためにトルコ語も操るということだそうだが、いずれにしても家族のだれもが一種変形した亜種化した言語を使っているのだと思われる。陸続きのヨーロッパではこういう状況はよくあるし、日本とアジア諸国にもこういう問題は今後ますます顕在化していくであろう。(180321渋谷ユーロスペース)
㉝遺灰の顔
監督:シャフワーン・イドレス 2014クルディスタン⁼イラク 87分 クルド語/アラビア語 イスラム映画祭
㉞ハッピー・エンド
監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:イザベル・ユベール ジャン・ルイ・トラティ二ヤン ファンティーヌ・アルドゥアン マチュー・カソヴィッツ 2017仏・独・オーストリア 107分
㉟ピンカートンに会いに行く
監督:坂下雄一郎 出演:内田慈 松本若菜 山田真歩 水野小論 岩野未知 田村健太郎 小川あん 岡本夏美 2017日本 86分
コンパクトで話しも単純な映画なのだが、登場人物がみななかなかの個性を発揮して面白い。20年前ピンカートンというアイドルグループを結成していた5人の少女たちはブレイク寸前で決裂。メンバーの一人あおいがコンサートをすっぽかしたことでグループ解散に追い込まれてしまう。そして20年後、二人は子持ちの主婦となり二人はいまだに芸能活動にしがみつきつつ崖っぷち状態、後の一人は??。そこに20年前幼い(中学生?)ファンだった、今は彼女たちが属していたレコード会社を吸収した会社にいる青年・松本がグループ再結成、再デビューの話を持ち掛けてくる。最初は冗談ではないという感じでいた元リーダーの優子だが、自分の今の所属事務所をクビになってしまい、松本の誘うままに元メンバ-を訪ねることになる・・・・それぞれの今の暮らしと20年前を交互にオーバーラップさせながら、ケンカ別れのまま行方不明になっていたあおいとの再会(このシーンのつくり方は面白い。気の強い優子の「謝り方」とあおいの「許し方」)、そしてとうとうコンサートだが、松本の太鼓判にもかかわらず観客は・・・・・というわけで。特に意表を突く展開はないけれど、特に優子を演じる内田慈が40近くなって弱みを抱えながらの強情や自己主張にますます磨きがかかってしまったヒロインを好演。他の登場人物もそれぞれに「ありえそう」な感じで、もちろん違う世界の人々なんだけど共感を誘う仕上がりになっている。(180325川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)
㊱ちはやふる 結び
監督:小泉徳弘 出演:広瀬すず 野村周平 新田真剣佑 賀来賢人 松岡茉優 國村隼 松田美由紀 2018日本
㊲15時17分、パリ行き
監督:クリント・イーストウッド アンソニー・サドラー アレク・スカラトス スペンサー・ストーン 2018米 94分
予告編ではパリ行き特急の中の事件=パニック=解決を描く作品かと思っていたが、予想を大きく外れ、特急の中の事件は終わり20分強?あっという間にテロ犯は捕まえられ終結する。そこまでの1時間以上はテロ犯を取り押さえた3人の「問題児」だった幼少期から、おとなになって「人助け」のために軍隊に入る青年期を描き、一人のアフガンからの退役?記念にベネチア、ベルリン、ベルギーからパリに向かおうとする旅行を描く観光案内映画みたいな様相・・しかも成人期を演ずるのは本人自身という再現ドキュメンタリーみたいな映画で、「硫黄島」のアメリカ篇の兵士とか、「ふつうの生活の中での人生」を描くそのほかのイーストウッド映画を思い起こさせるという点では、いかにもイーストウッド映画。役者としては素人の本人たちがそろって本人を演じて自然なのは当たり前なのか、それともものすごい演技指導のたまものなのかはわからないが、うーん。でも、本人たちはすごく気持ちよかったかもね。(180326府中TOHOシネマズ)
㊳ヒトラーに屈しなかった国王
監督:エリック・ポッペ 出演:イェスパー・クリステンセン アンドレス・バースモ・クリスティアンセン 2016ノルウェー 136分
第2次大戦時、ドイツに侵攻されたものの決して占領されることを受け入れなかった当時のノルウェー国王(ノルウェーのスェーデンからの独立に従ってデンマークから招かれて国王になったという人。独立して王室を作るということ自体がいかにもヨーロッパだ)がノルウェーの国内をいわば逃げ回りながら屈しなかった3日間を描く。おかげで?ノルゥエーは攻められ、国土は戦乱に、国王一家はアメリカに亡命ということになるが、国王の愛国心はいまだ称揚され、戦後亡命から戻った子孫によって王室は今も健在。この映画の面白かったのは、ドイツ側とノルウェーの間に立ってなんとか穏便にノルゥエイにもあまりひどいことにならないように交渉しようとするドイツ公使の姿が丁寧に描かれているところだろうか。結局のところ彼の努力は実らないので彼自身が映画の主人公にはならないが、しかし、実質的にはこちらが主人公と言ってもいいくらいだと感じた。(180327下高井戸シネマ)
㊴恋多き女
監督:ジャン・ルノワール 出演:イングリッド・バーグマン ジャン・マレー メル・ファーラー 1956仏 99分
ジャン・ルノワールの映画で20世紀初頭のパリが舞台ということで、父オーギュスト・ルノワールの絵画を彷彿とさせるようなダンスパーティシーンなどはさすがに・・・と目をひかれる。映画自体はポーランドの公女?とは見えないイングリッド・バーグマン、全然魅力的ではない?男性陣のごたごたな展開で、しかもものすごく賑やかな映画(まあ一応喜劇?)だが、なんかな・・恋愛から国・政治?に発展していく筋立ても含めて個人的にはあまり惹かれない(ときどき疲れてふ・・と画面が遠くなる)ような。
(180328川崎市アートセンター・アルテリオ映像館)
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