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【勝手気ままに映画日記】2018年5月

①チャンブラにて②僕はナポリタン③環状線の猫のように④イタリアの父⑤地中海⑥ロング,ロングバケーション(The Leisure Seeker)➆オー、ルーシー⑧いぬやしき⑨光陰的故事⑩あの頃、この時⑪残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(龍門客棧)⑫ニッポン国VS泉南石綿村⑬ラッキー⑭蚤とり侍 ⑮29歳問題⑯ラジオ・コバニ⑰ウインストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男⑱BPM ビート・パー・ミニット ⑲友罪 ⑳大英博物館プレゼンツ 北斎㉑ラブレス ㉒君への距離、1万キロ ㉓妻よ薔薇のように。家族はつらいよⅢ        ①~⑤イタリア映画祭2018  ⑨⑩⑪台湾巨匠傑作選2018  ⑦⑧⑫⑭⑲㉓日本映画 ⑨⑩⑪⑮中国語圏映画 ①チャンブラにて 監督:ジョナス・カルビニャーノ 出演:ピオ・アマート イオラインダ・アマート ダミアーノ・アマート コジモ・アマート クドゥ・セイオン 2017伊・米・仏・スェーデン 120分 イタリアの南部、カラブリア州ジョイア・タウロという町のはずれにあるチャンブラ通りはロマの人々の街であるらしい。そこに入った監督は実在の町民たちを起用して本人をモデルにした?人物を演じさせこの作品を撮ったらしい。窃盗や詐欺などを生業とするアマート家の末っ子、14歳のピオという少年が主人公でその兄、父母、兄姉や甥姪など一族総出演で多くが実名で演じている。ただしピオの兄コジモは双子の兄のダミアーノとコジモのダブルキャスト?とか。だからまったくの実人物として演じているわけではないのだろうが、しかしそれにしてもよくもまあ、この泥棒一家、父と兄は犯罪で手錠をかけられ収監というような物語を素人たちが演じたものと、そこが感心といえば感心、不可解といえば不可解。14歳のピオはもちろん、4~5歳の甥っ子に至るまでタバコをふかしワインを飲み、かわいい顔をしていっぱしにすごむというのもなんか衝撃。イタリアだなあ…兄に教えられ生活術(つまり小犯罪)を手先として学ぶというような生活をしていたピオは兄と父の収監によって、自ら一家の生活を支えるべく犯罪(列車内での置き引きとか)をしていく様子がこれでもかこれでもかという感じで丁寧?に描かれる。彼と仲良くなり犯罪に落ちていくのを少しでも防ぐようにかばってくれるのはセネガルからのボートピープルとして流れ着いた青年アイ

【勝手きままに映画日記】2018年4月

①花筐➁ブランク13③ゆれる人魚④去年の冬、きみに別れ⑤ナチュラル・ウーマン⑥ロープ戦場の生命線(A PERFECT DAY)⑦ジュピターズ・ムーン⑧ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書⑨北の桜守➉スイス・アーミー・マン⑪クソ野郎と美しい世界⑫あなたの旅立ち綴ります⑬ゴーギャン タヒチ、楽園への旅⑭ダンガル きっと強くなる⑮花咲くころ⑯早春(DEEP END)⑰The Promise 君への誓い⑱聖なる鹿殺し⑲しあわせの絵の具 愛を描く人モード・ルイス⑳タクシー運転手㉑ザ・シークレットマン(MARK FELT WHO BROUGHT DOUN THE WHITE HOUSE)  ①花筐 監督:大林宣彦出演:窪塚俊介 満島真之介 長塚圭史 柄本時生 矢作穂香 山崎紘奈 門脇麦 常盤貴子  原作:壇一雄 2017日本 169分    ガンで余命宣告を受けている大林宣彦「戦争三部作」の最後の1本ということで、前にメイキング・ドキュメンタリーやニュースをみていたので興味深く見に行く。夜7時半の1日1回興業の観客は20人ぐらい?で快適だがちょっとさびしい?大変くっきりした絵のような風景とそこに切り張りしたようなくっきりした人物。1941年太平洋戦争前夜の唐津が舞台で、登場人物は大学予科の17,8歳の学生たちと、周辺にいる女学生たち。そして主人公榊山俊彦の叔母で、この一家は瀟洒な洋館・和風の座敷を持つ屋敷に住み、まあ何をして暮らしているのかわからない「お金持ち」の人々で、風俗も戦争前夜というよりは大正ロマンティシズムに彩られている感じ。情報としての戦争は主治医や、家政婦、また学校教師など外からやってくる感じではあるのだが、青春期の彼ら(演者の顔ぶれから見てもわかるように、特に男性陣は、昔の人ということを勘案しても17歳とはとても見えないが)が外からの戦争を自分の内なるものとして取り込み、飲み込まれ、苦しんでいく様子はよくわかる。演技はだれもとってもわざとらしく、セリフ回しも舞台劇のようだし、映像もリアルというよりは一種の様式美を追及している感じだが、これはまあ意図的なものなのだと思う。子どもたちが日の丸を持ってひな壇のような崖?に佇み、歩き、そこに愛国行進曲が流れ兵士の群れが交信をする、というようなコラージュは、ちょっと黒沢明の晩年の作品『夢』を思い出させるよ

【勝手気ままに映画日記】2018年3月

①KU-KAIー美しき王妃の伝説(妖猫傳) ②ライオンは今夜死ぬ ③グレーテスト・ショーマン ④ベロニカとの記憶 ⑤シェイプ・オブ・ウォーター ⑥はじめてのおもてなし  ⑦芳華 ➇ナミヤ雑貨店の奇跡(解憂雑貨店) ⑨追跡(追・踪)⑩奇門遁甲 ⑪ライスフラワーの香り(米粉之味)⑫無言の激昂(暴烈無声)⑬無敵名人の最強レシピ(絶世高手)⑭乗風波浪~あの頃のあなたを今想う   ⑮僕の帰る場所 ⑯どこか霧の向う ⑰血観音 ⑱どこでもない ここしかない ⑲空手道 ⑳川流の島 ㉑ポッピー、ハリウッドに行く Redux ㉒昨日からの少女 ㉓朴烈(パクヨル)植民地からのアナキスト ㉔男たちの挽歌2018(英雄本色2018)㉕ネオマニラ ㉖中英街1号  ㉗ローズの秘密の頁 ㉘すてきなダイナマイトスキャンダル  ㉙女房の夫を探して ㉚ラジオのリクエスト ㉛ラヤルの三千夜 ㉜私の舌はまわらない ㉝遺灰の顔  ㉞ハッピー・エンド ㉟ピンカートンに会いに行く ㊱ちはやふる 結び ㊲15時17分、パリ行き ㊳ヒトラーに屈しなかった国王 ㊴恋多き女 ⑦~⑭中国映画祭電影2018  ⑮~㉖大阪アジアン映画祭   ㉙~㉝イスラム映画祭 ①KU-KAIー美しき王妃の伝説(妖猫傳) 監督:陳凱歌 出演:染谷将太 黄軒 2017中国・日本 実はこの映画2回見た。1回目は時差ぼけの真っ最中で、爆睡?してしまったらしく、ただきらびやかな画面の印象とクロネコの切り張りしたようなはめ込み映像しか記憶に残っていない。2回目は心してみたのだけれど、そして1回目ではすっ飛んでしまった暗い色合いの場面とか、日本での老師(老いて大活躍?に思える日野正平)との場面など、決してきらびやかなキンキン場面ばかりで構成された映画ではないことはわかったが、うーん、なんちゅうか・・陳凱歌で言えば「プロミス」系の荒唐無稽キラキラ大作である・・のは原作の問題?空海や白楽天は事件の30年後の謎解きをする探偵役、阿部寛の阿倍仲麻呂の出番は思ったよりは少なく軽く、楊貴妃の死の謎とそこにかかわる丹龍、白龍(これ最初一人二役かと思ったほどよく似た雰囲気に作っている)という二人の妖術使いの弟子の物語だが、登場人物が多いせいかなんか全体の人物の印象は希薄。過去と現代をつなぐ鍵になる官僚(秦昊)のパートも軽薄な印

第13回 大阪アジアン映画祭 2018/3月

3月9日~18日開催の大阪アジアン映画祭。今年は13日~16日、4日間の参加で12本の作品を見てきました。(自分の)最終日に見た2本がそれぞれ受賞、なんだかちょっと得をした気分?です。 ①僕の帰る場所 ②どこか霧の向こう ③血観音   ④どこでもない、ここしかない  ⑤空手道 ⑥川流の島  ⑦ポッピー、ハリウッドに行く Redux  ⑧昨日からの少女  ⑨朴烈(パクヨル)植民地からのアナキスト ⑩男たちの挽歌2018(英雄本色2018)  ⑪ネオマニラ(来るべき才能賞受賞)  ⑫中英街1号(グランプリ受賞) ①僕の帰る場所 監督:藤元秋緒 出演:カウンミャットウ ケインミャットウ アイセ テッミャッナイン 2017日・ミャンマー 100分  日本に暮すミャンマー人一家が難民申請が通らない苦境の中で、日本に残りたい父、帰りたくて精神的にも体調も不安定になる母の葛藤と、その後母が、日本語しかしゃべれない息子二人を連れて帰国、今度は特に上の息子(小学生)の苦しみを中心にドキュメンタリー調に描く。本当にドキュメンタリーっぽく、ミャンマー人一家も実在の一家?のようだが、一家の団欒とか子どもが喧嘩したり父母にまとわりつき父母が世話する場面などきわめて自然に撮れている、が、あるシーンでは何気なく津田寛治などが出演していて、あ、これは創作?それこそ虚実の皮膜にある作品なのかな・・・・作品としては前半の日本シーンと、後半ミャンマーでもちろんつながりはあるもののテーマが乖離してしてしまった印象がなくもない。後半空港を探してミャンマーの街に家出した小学生が、日本語をしゃべるミャンマー人?の子供二人と出会い、遊んで自己回復して帰るというのは物語としては納得のいく展開だが、あのミャンマーの喧噪の街でさんざんい歩き回った末、在りうることなのかとみると、嘘っぽくもあり、ここはドキュメンタリー調が逆に邪魔している感じもした。(180313 シネリーブル梅田) ②どこか霧の向こう 監督:張経緯 出演:スティフィ・タン レイチェル・リョン ジーノ・グー 2017香港 88分 端正な作り。ゲイだといじめられている友人を巻き込んで両親を殺害しダムに捨てる高校生の娘、彼女を取り調べる認知症の元医師の父の介護がのしかかる妊娠中の女性警察官が交互に描かれるが、わり

【勝手きままに映画日記】 2018年3月 中国映画祭 電影2018

国際交流基金主催の中国映画祭・電影2018は、3月中旬に東京、大阪、名古屋の3会場でそれぞれ同じ作品(東京では10作品、大阪・名古屋では9作品)が3日にわたって上映されました。東京で5本、大阪で3本頑張ってみてきました。 ①芳華 監督:馮小剛 出演:黄軒 苗苗 鐘楚曦 伍陌 2017中国 135分 まずは大きな毛沢東の肖像が画面いっぱいに出る。1976年~79年の人民軍文工隊に集まった青年たち、その中の数名のその後の人生(これはかなり省略・説明的だが)を描く。新しく隊に入った少女がいじめられたリ、だれからも好かれ頼りにされる青年の恋とその挫折など、今の時代になぜこういう映画とも思うが、観客の高齢化によりかの時代を苦さよりもノスタルジーをもって見られるような時期に来たこと、またこの時代を知らない若い世代には抵抗感がないことがヒットの理由? その時代性をつかみ取る監督馮小剛のセンスというものかもしれない。文工隊の女性たちの生き生きした姿態によるダンス、激しい戦闘の場面などもあって見どころのサービスも行き届いている。黄軒の白面の美青年は、ウーンちとキモイかな。女性たちはみなけっこう現代風だが、案外3~40年前もそうだったのかも。いまでこそ気にならないが、80年代初めごろに初めて中国に行った時、若い女性の腰の高さ、まっすぐな足に、日本人とは違うと驚いた記憶がある。(180308 TOHOシネマズ六本木)  ②ナミヤ雑貨店の奇跡(解憂雑貨店) 監督:韓傑 出演:王俊凱 董子健 ディルラ・ディルムラット 成龍 秦昊 郝蕾 2017中国 109分 時代を行ったり来たりする原作になんかごちゃごちゃした話だなと思った記憶があるが、映画はさらにそこに一種の因縁話を付け加え整理というか、ごちゃごちゃ感をまとめた感じ?日本版は見ていないが(レヴューの評判はあまりよくない)基本的には同じようなコンセプトでまとめているようだ。しかしどっちにしても作りすぎ?ウソっぽい(いやもともとウソっぽい話だからいいのか)日本版と違うのは最初に強盗をし、雑貨店に隠れる3人の一人が(ボーイッシュだが)少女とされていること。これが目がびっくりするほど大きくて顎細く、ふしぎな印象を持たせるディルラ・ディムラット。雑貨店の老板はジャッキー・チェンで年相応に?年とった役を演じているなと思うが、